第7回 障子紙の巻紙
障子とは、もとは衝立や屏風のような間仕切り具を指す言葉だったという。平安時代に木の組子に薄紙を張った採光用の建具(明かり障子)が使われるようになり、明かり障子は貴族の邸宅から有力武士、地方の土豪の屋敷へ広がった。室町時代には庶民の家にも明かり障子が使われるようになった。
障子紙は、明治時代まではすべて、楮[こうぞ]、三椏[みつまた]、雁皮[がんぴ]などの天然の靭皮繊維を使った手漉きの和紙だった。明治時代になると和紙製造にも機械漉きが導入され、パルプが使われるようになる。大正時代の中期には、輸入のマニラ麻を原料にした障子紙が作られるようになった。戦後の昭和30年代に、レーヨンやビニロンといった合成繊維を原料にした障子紙が実用化された。
今日では衝立を障子と呼ぶ人はもういない。平安時代の邸宅に光をもたらした紙の障子は、長い歳月にわたって和室の建具の主役であり続けている。障子紙の張替えは日本の家ならではのDIY作業である。
〔参考文献〕
大工道具研究会編『伝統建具の種類と製作技法』(誠文堂新光社、2012年)
小泉和子編『図説 日本インテリアの歴史』(河出書房新社、2015年)
林雅子監修『障子の本』(同和製紙、1978年)
【上ヶ島さんの巻紙コレクション】
上ヶ島オサムさん所蔵の障子紙の巻紙から、秘蔵のコレクションを紹介します。ぜひお楽しみください。(画像をクリックすると拡大表示されます)
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上ヶ島オサム
かみがしま・おさむ 紙物収集家。1957年北海道生まれ。東海大学工学部卒。著書に『レトロ包装シール・コレクション』(グラフィック社)、『絵はがきのなかの札幌』(北海道新聞社)、『さっぽろ燐寸ラベルグラフィティー』(亜璃西社)などがある。