第6回 トイレットペーパーの包装紙
ロール状のトイレットペーパーの工業的な製造は、19世紀半ばのアメリカで始まったという。1871年には実業家のセス・ウェラーによって、ミシン目の入ったロール状のトイレットペーパーの製造特許が取得された。日本では、大正13(1924)年にトイレットペーパー用の紙を抄く機械が山口県の土佐紙株式会社(現・日本製紙)芸防工場に導入されたことが製造開始の契機になった。
かつて日本の家庭紙の中心であった化粧紙(京花紙[きょうはなし]・落し紙)とちり紙が、ティッシュペーパーとトイレットペーパーにその座を譲ったのは戦後である。化粧紙は昭和47(1972)年に、ちり紙は昭和52年に、それぞれティッシュペーパーとトイレットペーパーに製造トップの座を譲った。
洋式トイレの普及とともに広まったトイレットペーパーを包んでいた包装紙と出会い、魅了された昭和世代からは、漫画家のやくみつる氏などのトイレットペーパー収集家が生まれている。
〔参考文献〕
日本トイレ協会編『トイレ学大事典』(柏書房、2015年)
東京都紙商組合編『和紙随想録』(東京都紙商組合、1969年)
「家庭紙産業の現状と将来」『紙パルプ技術タイムス』第26巻第8号(1983年7月)
【トイレットペーパー生き物図鑑】
上ヶ島オサムさんのコレクションから、昭和戦前から平成期までの生き物図案のトイレットペーパーの包装紙たちを紹介します。ぜひお楽しみください。(画像をクリックすると拡大表示されます)
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上ヶ島オサム
かみがしま・おさむ 紙物収集家。1957年北海道生まれ。東海大学工学部卒。著書に『レトロ包装シール・コレクション』(グラフィック社)などがある。