【新連載】ドクターアキヤマの科学教室◎第1回/虹が見えるメガネを作ろう 

〝科学って不思議で、ちょー楽しい‼神奈川県内を中心に科学実験教室やサイエンスショーを行い、小中高生から大人気の「ドクターアキヤマ」こと東海大学工学部の秋山泰伸先生。楽しくて面白い、人気の科学教室のエッセンスをご紹介します。お家でもできる簡単なものばかりなので、ぜひ実験してみてください。 

第1回/虹が見えるメガネを作ろう 

 ドクターアキヤマの科学教室にようこそ! 第1回の実験テーマは、光と色です。まずは回折格子[かいせつこうし]シートを使います。さっそく、このシートを使って蛍光灯を見てみましょう。どのように見えるでしょうか。虹のようなものが見えますね。 

 では、虹ってどのようなものでしょうか? とってもきれいな虹ですが、どんなときに見えるか知っていますか? その答えは、雨が上がったあと、太陽が出るときに見えるんです。 

 虹が見えるのはどんな仕組みかというと、雨が上がったばかりの空気の中には、たくさんの水の粒が浮かんでいます。その水の粒に太陽の光が当たって、粒の中で光が曲がって跳ね返ってくる。その時にいろいろな色の光に分かれて虹になって見えるんですね。 

 虹が見えやすいのは、太陽が低い位置にある朝や夕方に雨が上がった時です。雨が上がったあとに太陽に背を向けて立つと、正面に見えます。太陽の光が水の粒に当たって跳ね返ってくる方向はだいたい決まっているんです。 

 ところで、虹は何色なのか知っていますか? そう7色に見えますよね。赤、オレンジ、黄、緑、青、藍色、紫の7色です。でも、じつはこれ日本人が分けた虹の色なんですよ。アメリカやイギリスでは藍色を入れない6色といわれているようです。でも、中には8色に分ける国や2色だけという民族もいるそうです。同じ虹を見ているのに、国によって感じ方が違うのは面白いですよね。 

 なぜそのようなことが起こるのでしょうか? それでは、先ほどの回折格子シートを使って、白熱電球と蛍光灯の光を見比べてみましょう。回折格子シートを通して見える光はどのように見えますか? 

 白熱電球は、人間がはじめて作った光です。白熱電球光は自然の虹のように色と色の境目がはっきり分かれていないですよね。この境目のボヤっとした色を何色に分けるかで、国や民族によって虹を何色と考えるかの違いが出てきたのでしょう。 

 一方、蛍光灯の光は白熱電球と違って、色と色との境目がはっきりした階段のように見えますね。皆さんには何色に見えますか? 3色、それとも4色ですか? 

 では、同じ白い光を出す照明器具なのに、なぜ違う見え方をするのか考えてみましょう。 

光の三原色 

 皆さんも、聞いたことがあると思いますが、光には三原色というものがあります。何色か知ってますか? そう、赤(Red)と緑(Green)、青(Blue)ですね。各色の頭をとってRGBと言ったりします。この3つの色を合わせると白になります。 

 じつはここで使った蛍光灯の光は、赤と緑と青の3色の光が強く出るように作られているんです。だから、回折格子をとおして見ると、その3色が階段のように見えるんですね。一方、昔からある白熱電球の方は、太陽の光と同じように色々な光が混じっているので虹のように見えるんです。 

 余談ですが、電気がついている状態の白熱電球は、とっても熱くなっています。手で触ると火傷してしまいますよ。〝光を作りたい〟のに電球が熱くなっているという事は、熱として無駄なエネルギーが使われているということです。 

 最近では日本人が発明した青色LEDを使った光が多く使われています。LEDはもともと赤と緑だけだったのですが、青色が作れたおかげでLEDは光の3原色が揃ったんですよ!

 皆さんのお家の灯りや信号機など、あちこちの灯りがLEDに置き換わっていますが、なぜだと思いますか? その理由は、LEDは光ってもほとんど熱くならないからです。つまり、とても効率よく光を作り出しているんです。だから省エネになるんですね。 

回折格子の秘密 

 今回の実験で使う回折格子が、どのようなものかを紹介しましょう。見た目は透明なただのシートなのですが、じつはたくさんの細い溝が入っています。光がこの溝を通過するときに、光がもつ波の性質によって光が直進するだけでなく、溝の縁のところで光が曲がり、広がっていきます。これを「回折」といいます。 

 光は波です。波は高いところと高いところが重なるとより高くなり、高いところと低くなったところが上手く重なると波は無くなって平らになります。この波の高さが光の強さになります。すると波の重なり方で光が強くなったり、消えてしまったりするわけです。ですから、回析格子を通った光は、互いに影響しあいます。これが「干渉」です。 

 光は色によって波の形(正確には波長だけど)が異なります。回折格子シートを通すことで別々のところから来た光が重なるので、色によって強く光る場所や消えてしまう場所が違ってきます。だから、回析格子シートを通ることで、光は虹のように分かれるんです。 

虹が見えるメガネを作ってみよう!

 それでは、「虹が見えるメガネ」を作ってみましょう! まずは、紙コップの底に直径1cm程度の丸い穴をあけましょう。次に黒い画用紙を紙コップの飲み口の縁と同じ大きさの円になるように切り抜いてください。 

 丸い形に切り抜いた黒画用紙に押しピンで穴をたくさん開けましょう。どんなデザインで穴を開けてもいいです。穴でうずまきを作ってもいいし、星形を作ってもいいです。でも、穴を開けすぎると紙が破れて失敗してしまいますよ(笑)。 

 次に、紙コップの飲み口に押しピンで穴をあけた黒画用紙をセロハンテープで留めます。なるべく外光が漏れないように、きっちり止めます。 

 最後に、紙コップの底に切り抜いた穴よりもちょっと大きく切った回折格子シートを穴のところにセロハンテープで貼り付けます。このときセロハンテープが穴にかからないように注意しましょう。これで完成です。簡単ですよね。 

 では、さっそく作ったメガネで〝部屋の明かり〟を見てみましょう。どんなふうに見えるかな? 

 今回の実験で注意してほしいことがあります。それは絶対に太陽を直接見ないこと! 太陽の光はとても強いので、目を損傷したり、失明してしまう危険があります。蛍光灯や白熱電球など、部屋の中にある光を見るようにしましょうね。当然、ここで作った「虹が見えるメガネ」で太陽の光を見るのもダメですよ!! 

取材協力:東海大学付属相模高等学校・中等部の皆さん
イラスト=ヒットペン

ドクターアキヤマ(東海大学工学部応用化学科教授)

ドクターアキヤマ(本名:秋山泰伸) 1966年福岡県生まれ。九州大学大学院理学研究科博士前期課程修了。博士(工学)。九州大学助手を経て、現在は東海大学工学部学部長補佐。計算機マニアとして知られているほか、神奈川県内を中心に、主に小中高生を対象とした科学実験教室を開催している。テレビ、ラジオ、新聞などマスメディアやSNSに多数登場。著書に『愛しの昭和の計算道具』(東海大学出版会)