日本最古の木造建築を調べてみると、奈良の法隆寺に行きつく。西院伽藍と呼ばれるエリアの金堂や五重塔(ともに建立は飛鳥時代)などは、世界最古の木造建築群ともいわれている。
法隆寺以外にも、国内には歴史的な木造建築物が各地に現存する。実際に足を運び、間近で見ることができる(場所によっては入れたりもする!)わけで、なんともうれしいじゃありませんか。
江戸時代から明治時代にかけて刷られた浮世絵を通して、それらの一部をたどってみよう。
(画像の出典はすべて、国立国会図書館「NDLイメージバンク」)
東大寺(奈良時代創建)
世界最大級の木造建造物である大仏殿(江戸時代再建)や南大門(鎌倉時代再建)など、数々の文化財を有する東大寺(奈良県)。そのひとつである二月堂は、「お水取り」や「お松明」などを行う法要・修二会[しゅにえ]が行われる場所として知られている。
清水寺(平安時代創建)
清水寺(京都府)といえば、本堂の前面に張り出すように広がる「清水の舞台」(江戸時代再建)が有名だ。急峻な崖に建つ舞台は18本の欅の柱に支えられ、床には400枚以上もの桧板が敷き詰められている。「懸造り」と呼ばれる伝統工法が、急斜面での建造を可能にしている。
大乘寺 (江戸時代創建)
大乘寺(石川県)は、曹洞宗の二つの大本山である永平寺と總持寺に由緒を持つ、金沢市の寺。江戸中期につくられた仏殿は禅宗の建築様式を基調としながら、細部には他の様式も取り入れられている。仏殿以外にも、山門、法堂、庫裏、僧堂などの古建築が立ち並ぶ。
五大堂(江戸時代造営)
日本三景のひとつ、松島にある五大堂(宮城県)は、坂上田村麻呂が東征(平安時代)のおりに建立した毘沙門堂がはじまりと伝えられている。現在のお堂は仙台藩初代藩主・伊達政宗の造営で、東北地方に現存する最古の桃山建築と言われている。
厳島神社(飛鳥時代創建)
日本三景のひとつに数えられる安芸の宮島のシンボル的存在ともいえる厳島神社(広島県)。満潮時になると建物の下まで水が押し寄せる寝殿造の海上社殿(平安時代修造)は、安藤忠雄や丹下健三といった建築家にも影響を与えたという。
日光東照宮(江戸時代創建)
江戸幕府を開いた徳川家康を祀る日光東照宮(栃木県)。その建物には極彩色の装飾がほどこされている。中でも陽明門は500以上の彫刻で飾られていて、いつまで見ていても見飽きないことから「日暮の門」とも呼ばれている。
彦根城(江戸時代築城)
彦根城(滋賀県)は、江戸期に彦根藩主だった井伊家歴代の居城。大津城から移築されたといわれる天守には、多数の古材が使用されている。意匠もさることながら軍事的な機能にも優れ、日本における城郭建築の代表的遺構の一つと考えられている。
【参考資料・サイト】
『絶品・日本の歴史建築』[西日本編]磯達雄、宮沢洋著(日経プレミアムシリーズ)
文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/
東大寺 https://www.todaiji.or.jp/
清水寺 https://www.kiyomizudera.or.jp/
大乘寺 http://www.daijoji.or.jp/
瑞巌寺 https://zuiganji.or.jp/
松島町 https://www.town.miyagi-matsushima.lg.jp/
厳島神社 https://www.itsukushimajinja.jp/
日本三景 https://nihonsankei.jp/
日光東照宮 https://www.toshogu.jp/
彦根城 https://hikonecastle.com/index.html
彦根城博物館 https://hikone-castle-museum.jp/