働く文学——仕事に悩んだ時、読んでほしい29の物語
奥 憲太 著
文学はけっして正解を押しつけない。
あるのは答えではなく、問いそのものだったりする。
だからこそ、
どこかに今のあなた自身がいるかもしれない。
あなたを動かす言葉が、
あなたに見つけられるのを待っているかもしれない。
働くあなたに「働く文学」を――。
2017年6月28日発売
四六判・並製・272ページ
定価(本体1,800円+税)
ISBN978-4-486-03906-8
[内容]
現役会社員で、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント(国家資格)としても活動をしている著者が、「社会人という人生初の世界」「孤独について」「同僚・上司・部下」など7つのテーマで、29編の「働く文学」を紹介してゆく。また第一部では、著者が「働くことの意味」を探す労働体験の中で出会った〈働く人々の言葉〉を紹介する。
[目次]
はじめに 働くこととはどういうことだろう?
〈第一部 働くことを探して〉
第一章 仕事を語ることの難しさ
第二章 私が出会った働く人々
〈第二部 読んでほしい29の物語〉
人はなぜ、働く文学を読むのだろうか
PART1 働くことの意味を探して
「ア・ルース・ボーイ」佐伯一麦/「対岸の彼女」角田光代/「河口へ」佐藤洋二郎/「聖産業週間」黒井千次/「書店ガール」碧野 圭
PART2 社会人という人生初の世界
「何者」朝井リョウ/「やってられない月曜日」柴田よしき/「フルタイムライフ」柴崎友香/「鉄の骨」池井戸潤
PART3 孤独について
「ポトスライムの舟」津村記久子/「巨人と玩具」開高 健/「さして重要でない一日」伊井直行/「秒速10センチの越冬」岡崎祥久/「放浪記」林芙美子
PART4 働く情熱のゆくえ
「風に舞いあがるビニールシート」森 絵都/「闘牛」井上 靖/「ロックンロールミシン」鈴木清剛/「光る壁画」吉村昭
PART5 同僚・上司・部下
「スローカーブを、もう一球」山際淳司/「沖で待つ」絲山秋子/「狭小邸宅」新庄 耕/「八甲田山 死の彷徨」新田次郎/「十二月の窓辺」津村記久子
PART6 仕事と家庭をめぐって
「プールサイド小景」庄野潤三/「夕陽ヵ丘三号館」有吉佐和子
PART7 定年後を生きる
「定年ゴジラ」重松 清/「極楽カンパニー」原 宏一/「楢山節考」深沢七郎/「李陵」中島 敦
あとがき 出会うことから、すべてははじまる
[奥 憲太(おく・けんた)]
1969年生まれ。京都府出身。慶応義塾大学卒業。人事・人材開発・経営企画等に携わる現役会社員。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント(国家資格)としても執筆・活動をしている。1995年に三田文學新人賞佳作入選。著書に『百年の花』(梧桐書院)がある。