【連載】ドクターアキヤマの科学教室◎第2回/カラフルスライムで〝色々〟体験‼

〝科学って不思議で、ちょー楽しい‼。神奈川県内を中心に科学実験教室やサイエンスショーを行い、小中高生から大人気の「ドクターアキヤマ」こと東海大学工学部の秋山泰伸先生。楽しくて面白い、人気の科学教室のエッセンスをご紹介します。お家でもできる簡単なものばかりなので、ぜひ実験してみてください。 

第2回/カラフルスライムで〝色々〟体験‼

 ドクターアキヤマの科学教室へようこそ! 第2回は子どもから大人まで、みんなが大好きなスライムを作ってみたいと思います。第1回で色についての実験をしましたから、今回も〝三原色〟を使ってカラフルなスライムを作っていきましょう。 

 まずは前回のおさらいです。光の三原色って何でしたか? そう、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の3つでした。略してRGBと言われていましたね。全部を混ぜると白(太陽光のイメージ)になります。 

 今回の実験で使うのは、色の三原色です。色の三原色はRGBではありません。誰か知っていますか? なるほど、青と赤と黄色ですか? 確かにそのように言われることがありますね。でも厳密にいうと、青緑(Cyan、シアン)、赤紫(Magenta、マゼンタ)、黄色(Yellow、イエロー)の三色です。  

 この三色を混ぜ合わせることで、さまざまな色を作ることができます。そして、三色すべてを混ぜ合わせると黒になります。では、なぜそうなるのかを考えてみましょう。 

 私たちは目に入る光で色を認識しています。じつはシアンは白い光から光の三原色の赤を除いた色です。つまり赤の光を吸収するものがシアンにみえているわけです。同じように白い光から緑の光を除くとマゼンタ、青の光を除くとイエローになります。という事は、シアンとマゼンタとイエローを混ぜれば、光の三原色の全てを吸収しますから、光は消えて〝黒〟になるわけです。光の三原色と色の三原色って、ちょっと見方が違うだけで同じ事なんですね。 

 余談ですが、カラープリンターなどでは色の三原色(頭文字でCMY)に黒(K)をたした四色で印刷をしています。これはなぜかというと、原理的には三原色で黒を含むすべての色ができるのですが微妙な混ざり具合によって真っ黒を作るのが難しいんです。黒は文章の印刷などで基本となる大事なものですから、三原色とは別に黒のインクを使っているんですね。

カラフルスライムを作ってみよう!  

 それでは、さっそくカラフルスライムを作っていきましょう! 

 まずは、洗濯のり(PVA:ポリビニルアルコールが主成分のもの)と水を半分ずつ混ぜ合わせた洗濯のり水溶液を3つ用意して、それぞれ水性インクで三原色の色を付けます。できた液体をポンプ式のボトルに入れましょう。 

 次に、ホウ砂([ほうしゃ]って読みます)という物質を水に溶ける限界ぐらいまで溶かした水溶液を作ります。ホウ砂が少し溶け残っているぐらいでも大丈夫です。こちらもポンプ式のボトルに入れておきます。これでスライムづくりの準備は完了です。 

 小さなビニール袋を用意して、そこに好きな三色の液体をあわせて6プッシュぶんぐらい入れます。液体の組み合わせによってさまざまな色のスライムを作ることができますから、自分の好きな色にしてみましょう。ただ、好きな色といっても、さすがに蛍光色や金色、銀色などはできませんよ(笑)。 

 色が決まったらホウ砂が溶けた液体を2プッシュほど入れます。それを混ぜ混ぜすると……。カラフルスライムの完成です! とっても簡単ですよね。 

スライムができる仕組みは? 

 では、どうしてスライムができるのかを考えてみましょう!
 
 今回の実験で使う洗濯のりは、ワイシャツなどを洗った後、形をパリッと整えるために使ったりするものです。ドクターアキヤマが子どもだったころは、ごはん粒で作ったのりを使っていましたが、いまはPVA(ポリビニルアルコール)という水に溶けるプラスチックが使われています。 

 プラスチックというと〝分解しづらい〟ので、あまり良いイメージが無いかもしれませんが、PVAは生き物が分解して栄養にできるプラスチックですから、水中で分解してしまいます。だから、洗濯したあと排水しても大丈夫なんですね。 

 このPVAが水に溶けている状態は、目に見えない細い春雨みたいな物質がたくさん入っているのをイメージするといいかもしれません。もちろん食べられませんが(笑)。 

 PVAの水溶液にホウ砂水溶液を混ぜると、ホウ酸イオンがPVAのOH基と緩やかに水素結合(若干のプラスを帯びた水素とマイナスを帯びた原子(今回は酸素)が結合する現象)をします。その際にPVA同士の間に〝水〟も一緒に取り込みます。 

 その結果としてスライムができあがるんです。これは緩やかな結合ですから、引っ張るとちぎれてしまいますし、プラスとマイナスが引っ張り合うことで再びくっつくこともできます。だから、あのプニョプニョ、フワフワで切れたりくっついたりするスライムができるのです。 

 ちなみに、ホウ酸イオンがPVA同士に〝橋を架ける〟ことから、この現象のことを化学用語では〝架橋[かきょう]〟といいます。この〝架橋〟については高校の化学で勉強しますよ。スライムを作って遊ぶという事は、高校で学ぶ化学の先取り実験を行っているようなものなんですよ。  

 どうですか、三原色を混ぜて、好きな色のスライムができましたか? おっ、すごく伸びるスライムを作った人がいますね(笑)。このスライム、同じ分量で作っても人によって柔らかさが違ったりする事があるんですよ。 

 できたスライムに酸をかけると架橋が壊れて溶けてしまいますし、触っていると温度が上がったり手の汗がついたりして、ドロドロに溶けてしまう事があるようです。この前やった科学教室で、お子さんが作ったスライムを手の中で溶かしてしまったお父さんがいました。お子さんは作り直していましたが、「お父さん、もうぜったいに触らないで!」って、怒られていました(笑)。

 そうそう、もしスライムが柔らかすぎたり 硬すぎたりするようなら、「PVAと混ぜる水の量」や「ホウ砂水」の量を調整してみてください。好みの硬さのスライムが作れると思います。

 今回の実験では一つだけ注意点があります。ホウ砂は少しだけ毒性がある物質です。さすがに飲んだりする人はいないと思いますが……。傷口などから体に入るとあまりよくありません。もちろん猛毒というわけではないですが、取り扱いには注意しましょう! 

取材協力:東海大学付属相模高等学校・中等部の皆さん
イラスト=ヒットペン

ドクターアキヤマ(東海大学工学部応用化学科教授)

ドクターアキヤマ(本名:秋山泰伸) 1966年福岡県生まれ。九州大学大学院理学研究科博士前期課程修了。博士(工学)。九州大学助手を経て、現在は東海大学工学部学部長補佐。計算機マニアとして知られているほか、神奈川県内を中心に、主に小中高生を対象とした科学実験教室を開催している。テレビ、ラジオ、新聞などマスメディアやSNSに多数登場。著書に『愛しの昭和の計算道具』(東海大学出版会)

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