【連載】ドクターアキヤマの科学教室◎第3回/万華鏡っぽいものを作ってみよう! 

〝科学って不思議で、ちょー楽しい‼。神奈川県内を中心に科学実験教室やサイエンスショーを行い、小中高生から大人気の「ドクターアキヤマ」こと東海大学工学部の秋山泰伸先生。楽しくて面白い、人気の科学教室のエッセンスをご紹介します。お家でもできる簡単なものばかりなので、ぜひ実験してみてください。 

第3回/万華鏡っぽいものを作ってみよう! 

 ドクターアキヤマの科学教室へようこそ! 第3回は偏光シートを使って、万華鏡っぽいもの(笑)を作ります! ついでに、皆さんがよく使っているスマホや携帯ゲーム機などの画面がなぜ見えるのかについても考えていきましょう。 

 さっそくですが、皆さんに偏光シートを2枚配ります。まず1枚の偏光シートを通して蛍光灯の光を覗いてみましょう。どうなりましたか? ほとんど変わらないですか? 次に偏光シートを2枚重ねて、蛍光灯を見てみましょう。やっぱり変わりませんか? それともとっても暗くなりましたか? 

 じゃあ、蛍光灯を覗いたまま、重ね合わせた偏光シートの1枚だけを少しずつ回転させてみてください。回転させると、だんだん暗くなって蛍光灯の光が見えにくくなったり、また明るくなって蛍光灯の光が見えやすくなったりしますよね。なぜそうなるのかは、後ほど解説しますね。 

スマホの画面が表示される原理

 では、こちらのタブレットを見てください。タブレットの画面に何の絵が描かれていますか? えっ、真っ白? じゃあ、先ほど使った偏光シートを1枚だけ使って、こちらの画面を見てみましょう。そう、猫の絵が見えますよね。皆さん、かなりびっくりしていますね。ちなみに、この猫は私が描いたドクターアキヤマのマスコットキャラクターです(笑)。  

 じつは、皆さんが使っているスマホや携帯ゲーム機の液晶画面が見える原理はこれと同じです。液晶画面の表面には、いま皆さんが持っている偏光シート(偏光フィルム)のようなものが貼り付けてあるんですね。先ほどお見せしたタブレットの画面が真っ白に見えていたのは、表面の偏光シートを剝がしてあったからなんです。 

 では、もう一つのこちらのタブレットを見てください。このタブレットは、表面のフィルムを剝がしていませんので、偏光シートを使わなくても、先ほどと同じドクターアキヤマが描いた猫の絵が見えますよね。この絵を、偏光シートを使って見てみましょう。どうなりますか? 

 シートを回転させたら、明るさが変わりますよね。回転する角度を調整すると真っ暗になってほとんど何も見えなくなります。これは、最初にやった偏光シートを2枚重ねた実験と同じことです。タブレット表面の偏光シートと、皆さんが持っている偏光シートを合わせたことで、回転させると見え方が変わるんです。 

偏光シートの秘密

 光には波の性質がありますが、普通はいろいろな方向に変化する波が混ざり合っています。偏光シートには色々な方向に変化する波の中から、特定の方向に変化する波だけ通す性質があるんです。と言っても、ちょっと難しいかな……? 

 たとえば、偏光シートを通すことで左右に変化する波は通れなくて、上下に変化する波だけになるようなイメージです。では、偏光シートを90度回転させてみましょう。すると、今度は左右に変化する波だけ通るようになります。 

 偏光シートと90度回転させた偏光シートを光が通ると、1枚目で上下の波だけになり、2枚目で左右の波に……。あれ、この時に左右に変化する光はないですよね。だって、1枚目で上下の波だけになっているじゃないですか。その結果、光が無くなって真っ暗になるんですね。 

 じゃあ、先ほどの実験で、直接目で見ると白い画面だったのが偏光シートを通すと黄色の猫が見えたのはなぜでしょうか? あれは、液晶というものを使って猫の絵の部分の光の変化方向を変えていたからなんです。 

 連載第1回の実験の時に、白い光は三原色の赤(R)、緑(G)、青(B)で、できるって紹介しました。白い画面はRGBでできています。猫の絵の〝青〟の光は左右に変化する光で残りは上下に変化する光だと考えてください。目で見ると光の変化方向は関係ないのでRGBが混じって全部真っ白です。ところが、偏光シートで上下の光だけ通るようにすると、猫の絵のところの青は通れず赤と緑のみ通ります。すると、黄色の猫が出現するわけです。 

 スマホや携帯ゲーム機の画面は、偏光シートと、液晶を使うことで画面を表示しています。液晶というのは電圧をかけることで光の通し方を変える特徴を持っています。この液晶で光の変化方向を調節して絵や文字を映し出しているのです。先ほど猫の絵を映し出していたようにね。 

 この液晶の発明と改良で、軽くて何時間も使えるスマホやゲーム機、それにテレビの画面ができているんです。家のテレビも大画面で薄くて軽いですよね! 壁に掛けられるぐらい。私が子どもの頃のブラウン管テレビは重くて大きくて、壁に掛けたら壁ごと壊れちゃいますよ(笑)。

偏光シートを使って作る万華鏡 

 では、この偏光シートを使って、万華鏡のようなものを作ってみましょう! 

 まずは用意した2つの紙コップの底に直径2cm程度の円形の穴をあけます。大きさはだいたいで大丈夫です。穴の形は星形を作ってもいいし、好きな形にしてもいいですが、穴を大きくしすぎないように注意しましょう。 

 次に一つ目のコップの底の穴に偏光シートをセロハンテープで貼り付けます。この時、穴の部分にセロハンテープが〝被らない〟ように注意してください。 

 そして、二つ目のコップの底の穴に偏光シートをセロハンテープで貼り付けます。そして、こちらは穴の上の偏光シートの上にもセロハンテープが〝被る〟ようにしましょう! それも綺麗に貼るのではなく、斜めに横切ったり、2重、3重に重なったり不規則な貼り方にするといいです。雑に……いや、大胆にセロハンテープを貼っていきましょう!(笑) 。

 一つ目のコップを外側、二つ目のコップを内側にしてコップを重ねます。これで、完成です。簡単ですよね。ちなみに、どちらのコップを先に作ってもOKです。でも、必ず穴に被さったセロハンテープで偏光シートを貼り付けたコップが内側、穴に被さらないようにセロハンテープで偏光シートを貼り付けたコップが外側になるようにしましょう。 

 では、完成した万華鏡を通して〝部屋の明かり〟を見てみましょう! どんなふうに見えるかな? 重なったコップを別々に回転させてみてください。いろいろな色や模様が見えますね。 

 なぜ万華鏡のように見えるのか。その秘密はセロハンテープにあります。セロハンテープは、セロハンに粘着剤などを塗って、芯に巻き取って作られます。巻き取るときに引っ張られますから、縦方向と横方向で光の屈折率が違うんですね。 

 そのため特定の方向の振幅の波の形を変える働きがあります。それも色によって変え方が異なるので、青と赤、緑では波の形、まあ、わかりやすく考えると上下の変化が強くなったり左右の変化が強くなったりが色によって変わるのです。 

 せっかくだから、もうちょっと詳しく説明しましょう。まず1枚目の偏光シートで光の方向が揃います。その次のセロハンテープで光が上下になったり左右になったり、斜めになったり、強さの方向が変わって、さらに何枚もセロハンテープを通過しますから、もうぐちゃぐちゃになります。それも色によってぐちゃぐちゃ具合が変わります(笑)。 

 そして2枚目の偏光シートで特定の方向の光だけを通過させますから、通ってきた光は色によって強弱がついて、万華鏡というか、回転させて色が変化するステンドグラスのようになります。ですから、セロハンテープの貼り方を変えれば、いろんな色や模様の万華鏡が作れますよ。これってセロハンテープが、さっき説明した〝液晶〟と同じような働きをしているとも考えられますよね。 

 第1回の「虹が見えるメガネ」のときにも言いましたが、この万華鏡で絶対に太陽を直接見ないようにしましょう! 太陽の光はとても強いので、目を損傷したり、失明したりしてしまう危険があります。蛍光灯など、部屋の中の光を見て楽しむようにしましょうね。 

取材協力:東海大学付属相模高等学校・中等部の皆さん
イラスト=ヒットペン

ドクターアキヤマ(東海大学工学部応用化学科教授)

ドクターアキヤマ(本名:秋山泰伸) 1966年福岡県生まれ。九州大学大学院理学研究科博士前期課程修了。博士(工学)。九州大学助手を経て、現在は東海大学工学部学部長補佐。計算機マニアとして知られているほか、神奈川県内を中心に、主に小中高生を対象とした科学実験教室を開催している。テレビ、ラジオ、新聞などマスメディアやSNSに多数登場。著書に『愛しの昭和の計算道具』(東海大学出版会)。

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