【連載】ドクターアキヤマの科学教室◎第4回/ドクターアキヤマと科学の出合い

〝科学って不思議で、ちょー楽しい‼。神奈川県内を中心に科学実験教室やサイエンスショーを行い、小中高生から大人気の「ドクターアキヤマ」こと東海大学工学部の秋山泰伸先生。今回は、少し実験から離れて、秋山先生が科学と出合ったきっかけについてのお話をご紹介します。

第4回/ドクターアキヤマと科学の出合い 

 今回はちょっと趣向を変えて、ドクターアキヤマが科学を好きになったきっかけについて、お話ししたいと思います。「えっ? 今回は、科学実験じゃないの? もうネタ切れなの?」って、思いましたか? さすがに3回でネタ切れにはなりませんよ~(笑)。 

 ドクターアキヤマが科学を好きになったきっかけは、学研の『科学』という子ども向けの学習雑誌でした。ドクターアキヤマが小学生だったころ、学研から『学習』と『科学』という2つの小学生向けの雑誌が出版されていたんです。 

『〇年の学習』『〇年の科学』というように1年生から6年生まで学年ごとに毎月出版されていました。しかし、2010年ごろに休刊になってしまったようで、あんなに楽しい雑誌がなくなってしまったのはちょっと残念だなぁって思っていました。 

 でも、ちょっとまえにリニューアルして『学研の科学』として復刊したようですね。特定の学年対象ではなく〝大人〟も科学を楽しめる内容の不定期刊行の雑誌になったようです。この出版不況のなか素晴らしい! 

 その『学習』と『科学』ですが、はじめのころは小学校で購読希望者を募って、雑誌代の集金から配布までをやっていました。雑誌の発売日には皆がワーッと先生のところに集まって、自分の分の雑誌を貰うんです。 

 毎月この日が来るのが楽しみで、ワクワクしながら雑誌を開いていた記憶があります。しばらくすると、学校はノータッチになって、各家庭に戸配になりました。おそらく何らかの大人の事情があったんでしょうね(笑)。 

ドクターアキヤマが小学1年生だったころの『1年のかがく』と『1年の学習』(書影:(株)Gakken提供)

面白かった雑誌の付録

『学習』のほうは国語や社会、算数なども含んでいたのですが……、こっちはよく憶えてないや。ドクターアキヤマが科学を好きになったきっかけは『科学』のほう。こちらの内容は、小学生だから科学というよりも理科で、実験や工作ができる〝付録〟がついているのが大きな特徴でした。 

 当然、雑誌を買う、買わないの判断は自由。『学習』と『科学』の両方とも買ってもらっている子どももいれば、どちらか片方だけの子どももいる。ドクターアキヤマは、お母さんの強い意向で『学習』を買ってもらっていました。きっと、「えっ? 話の流れからして『科学』のほうじゃないの?」 と思いましたよね?(笑) 

 そう、はじめは『学習』のほうだったんです。まあ、今思えばお母さんの考えも良くわかります。言葉や文字もこれから勉強しなきゃいけない小学校の低学年には、理科が学べる『科学』よりも国語や社会、なんと算数までも学べる『学習』のほうがよさそうですよね。 

 でも、子どものころのドクターアキヤマにとっては、『科学』についている付録が楽しそうだったのよね(笑)。『学習』にも町の立体地図とかの付録が付いていたんだけれど……、飛んだり、回ったり、色が変わったりする付録のほうが面白そうじゃないですか。あっ、もちろん立体地図が悪いわけではないのですが。 

 それで、ドクターアキヤマは、「反対されるかもしれない」「怒られるかもしれない」と思いながらも、意を決して『学習』から『科学』に変えたいって、お母さんに進言したんです。そうしたら、あっさり「いいわよ」って言われて。 

 ひょっとしたら、「自分の意思で科学を学びたいなんて、この子は将来科学者になるに違いない」って思ったのかもしれない。ドクターアキヤマのお母さんは先見の明があったんでしょうね(笑)。 

 この〝付録に惹かれる〟っていうのは時代が変わっても一緒ですよね。今も多いでしょう、付録がメインなのか、本がメインなのかわからない雑誌とか。お菓子にもありますよね、フィギュア付きの食玩とか。昔からオマケつきのお菓子は子どもに人気があったけれど、いまは大人が財力にものを言わせて箱買いする時代だしね。 

科学者ってかっこいい!

 さて、話の流れを戻しましょう。『科学』の付録に惹かれたのは事実なのですが、雑誌の内容自体もとっても面白かったんです。生き物や天気、ロケット、薬の話などなど、日頃から目にする物や現象を取り上げて、子どもの興味を惹きながら、対象とする学年の小学生が理解できるように工夫されていました。さすがに50年前の記憶だから、ちょっと美化しちゃっている部分もあるかもしれませんけどね。 

『科学』には毎回テーマがあって、そのテーマについての実験が完結できる素材が付いていました。作り方を読みながら組み立てたり、手順を見ながら実験したりするんです。アリを飼って目の前にアリの巣のパノラマが広がるキットや、電磁石を利用して走る車、レコードプレーヤーだったり、現像までできる白黒カメラもあった気がする。たしか写真は、押入れの中で現像したんじゃなかったかな。 

 これ、聞いただけでワクワクしませんか? レコードもフィルムカメラも、いまはマニア向けのものになってしまったけれど、自分で作ったレコードプレーヤーで音が出るんですよ。まあ、使えるのは専用のレコードだけでしたけどね。 

 小学生だったドクターアキヤマに電磁石の原理やレンズの役割、現像薬品の化学反応などがすべて理解できたとは言いません。でも、自分で作って楽しむことで、ちょっとだけ「なぜだろう?」という興味が湧いてくる。これがとっても大切なことだと思います。 

 電磁石で車輪が回る現象を、電流とN極とS極の関係は理解できなくても、スイッチが切れてもすぐには止まらないから回り続けるんだなと理解したり、写真の現像中に押入れを開けられて、せっかく撮ったフィルムが真っ黒になっちゃって、光があたるとやっぱりダメなんだと納得したりとか。あと、女王アリが摑まえられなくて、働きアリだけでも巣はできたけど、本に載っていた卵部屋はできないな、とかね(笑)。 

 こういうところが科学にはまるきっかけだった気がします。理屈のすべては理解できなくても「こうやると、こういうことがおこるんだ!」って、その時の知識なりに、理解したり、納得できたりした時は、子どもながらに達成感があった気がします。きっと脳内でドーパミンが分泌されていたんでしょうね。 

 当時の雑誌や漫画などに登場する科学者といえば、金魚鉢の底のようなレンズのメガネをかけてちょっと汚れた白衣を着た白髪頭がボサボサの博士で、色鮮やかな赤い液体と青い液体を混ぜたらブクブクと泡が噴き出して最後にドカンと爆発して、煤だらけの呆然とした表情をするんです(笑) 。

 ドクターアキヤマはこの科学者像にあこがれ、〝こうなりたい〟と思ったんです。だって、かっこいいじゃないですか、液体2つ混ぜて頭がボンってなるのよ(笑)。昭和世代の多くの小学生のあこがれといえば、プロ野球選手とか、パイロットとか、お医者さんとか、お花屋さんに、ケーキ屋さんだったかもしれませんけどね。 

ドクターアキヤマがあこがれた科学者像はこんな感じ!?

 確かにスポーツ選手とかもかっこいいですけど、科学者や技術者もかっこいいと思いますよ。だって、「なぜ?」を追求していくことで、物事が起きる理由を解明したり、新たな改良ができたりするんです。でもまあ、実際のところは真っ白で何も映っていない写真ができてしまったり、巣が滅んじゃったりするような失敗が大部分なんですけど。 

 先日、中学生の科学研究コンテストの審査委員として同席していたある先生も、自身の科学への興味の原点は「子どものころに購読していた学研の『科学』である!」って、おっしゃっていました。嬉しくなって思わずハグしちゃおうかと思いましたよ。まあ、おじさん同士のハグは美しくないからやめました(笑)。  

科学の楽しさを伝えたい!

 残念ながら、子ども向けの月刊誌としての『学習』と『科学』は無くなってしまいました。その代わりといっては何ですが、子どものころ雑誌『科学』から受けた〝ワクワク感〟や〝なぜ?〟をドクターアキヤマが皆さんに伝えていきたいと思っています。 

 いま世界を見渡してみると、IT技術やハイテクノロジーの進歩で〝科学〟の重要性がより高まっているように思います。ですから、人類の未来を担う皆さんたちに科学の楽しさを知ってもらうことは、とってもとっても大切なことなのではないかと思っています。 

 神奈川県が中心になりますが、ドクターアキヤマの科学実験イベントをあちこちで開催しています。ワークショップ形式だったり、科学教室だったり、実験ショーだったりと、皆さんと科学の不思議を楽しみながら、ちょっとだけ「なぜ?」って思ってもらえたら嬉しいです。 ぜひ、ドクターアキヤマに会いに来てください!

 もちろん、この連載も皆さんが科学に興味を持つ一つのきっかけとなればいいなぁ。毎回ちゃんとチェックしてくださいね! さて、次回は科学実験に戻りましょう。

ドクターアキヤマ(東海大学工学部応用化学科教授)

ドクターアキヤマ(本名:秋山泰伸) 1966年福岡県生まれ。九州大学大学院理学研究科博士前期課程修了。博士(工学)。九州大学助手を経て、現在は東海大学工学部学部長補佐。計算機マニアとして知られているほか、神奈川県内を中心に、主に小中高生を対象とした科学実験教室を開催している。テレビ、ラジオ、新聞などマスメディアやSNSに多数登場。著書に『愛しの昭和の計算道具』(東海教育研究所)。

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