【フォトエッセイ】星空をめぐる旅、そして物語◎永田美絵——第21回/夏の大三角形と七夕の星 

第21回 夏の大三角形と七夕の星 

 夏の星空祭りといえば、一年に一度、織姫と彦星が出会える日の七夕ですね。 
 私は毎年七夕には、お天気がよくなり二つの星が見えますように、と願いをかけるのですが……。 
 お天気が安定しない時期、雨や曇り空で二つの星がよく見えないことがあり、残念な気持ちになることもあります。 

 本来の七夕は旧暦の7月7日です。日本では明治6年(1873年)1月1日に新暦(太陽暦)をスタートさせましたが、それまでは月の満ち欠けを基にした暦(太陰太陽暦)を使っていました。 
 月は29日周期で満ち欠けをします。新月からはじまり、三日月、上弦の半月、満月、下弦の半月と、徐々に形を変えていきますが、日本では月の満ち欠けの周期を1ヵ月と決めていました。 
 カレンダーが無かった時代、月の形が細い三日月なら1ヵ月の初め、満月だと15日ころ、下弦になると月の下旬とわかります。 
 今日がいつ頃かがわかることはとても便利だったのです。 

 ところが1ヵ月が29日ほどでしたから、1年が短く、季節がどんどんずれてしまうので、補正するため「閏[うるう]月」を入れていました。ですから現代の新暦の7月7日は、旧暦では1ヵ月ほどずれて8月頃になります。 
 2026年の旧暦7月7日は8月19日に当たります。七夕の星の見ごろは7月7日から1ヵ月以上たってからということになります。そのころは、七夕の二つの星も高く、梅雨も終わっていて、七夕祭りをするにもよい時期となります。私は、やはり旧暦七夕の日に二つの星を見ることをおすすめします。 

 旧暦七夕の宵空、頭の真上近くにひときわ輝く織姫星が見つかります。織姫星はこと座のベガ。ベガは真夏の女王と呼び名がある明るい星です。 
 ベガから南東の空に目を移すと彦星であるわし座のアルタイルが見つかります。 
 東北の空高くにはくちょう座のデネブが見つかれば三つの星を結んで「夏の大三角形」ができあがり。夏といえば夏の大三角形、と覚えておくと夜空を見上げる楽しみがあります。 

 夏の大三角形ですが、冬の大三角のような綺麗な三角形ではありません。二等辺三角形のような三角です。 
 子どもたちに「何に似てるかな?」と聞くと、 
「ピザ」 
「ショートケーキ」 
「チーズ」 
「はんぺん」 
など、楽しく素敵な答えが出て、思わず笑顔になります。 
 さて、みなさんは夏の大三角形は何に見えるでしょうか? ぜひ本当の夜空で見つけて想像してみてくださいね。 

夏の大三角形(「キーテクノロジーぐんま天文台」のギャラリーから)。「キーテクノロジーぐんま天文台」の正式名は「群馬県立ぐんま天文台」。吾妻郡高山村中山の標高約885メートルの高地にある。一帯は、澄んだ空気と少ない光害から「星降る村」とも称されるほど美しい星空が広がる。さまざまなイベントも開催され、夏休みに訪れてみてはいかが
永田 美絵

ながた・みえ コスモプラネタリウム渋谷チーフ解説員。東京・品川生まれ。東京理科大学理学部物理学科卒業。キャッチフレーズは「癒しの星空解説員」。2000年からNHKラジオ第一『子ども科学電話相談』の「天文・宇宙」の回答者を務める。ご自身の名がついた小惑星(11528)Mie がある。著書に『カリスマ解説員の楽しい星空入門』(ちくま新書、2017年)など、監修に『小学館の図鑑NEO まどあけずかん うちゅう』(小学館、2022年)、『季節をめぐる 星座のものがたり 春』(汐文社、2022年)などがある。 コスモプラネタリウム渋谷の公式ホームページはこちら

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