【フォトエッセイ】星空をめぐる旅、そして物語◎永田美絵——第18回/宇宙人を探す

第18回 宇宙人を探す

 私が働いているコスモプラネタリウム渋谷では、4月1日のエイプリルフールに都市伝説プラネタリウムという特別投影が行われます。今年も開催しました。 
 そこで以前、当館の解説員が宇宙人についての都市伝説を解説したことがあります。 
 星空解説がまったく入っていない、例を見ないプラネタリウム番組なのに、大勢のお客様が来館されました。 

 さて、みなさんは宇宙人はいると思いますか? 
 NHKラジオ『子ども科学電話相談』には、毎年必ず「宇宙人はいますか?」という質問が寄せられます。 
 宇宙人がいるかどうかは置いておいて、科学的に宇宙に生物がいるかどうかを考えた博士がいました。アメリカのコーネル大学のフランク・ドレイク博士です。 

 博士が提案したドレイクの方程式は、文明を築いた知的生物が住む星が、私たちの天の川銀河の中にいくつあるかを推定する数式です。 
 天の川銀河で一年間に誕生する恒星の数や、惑星を持つ恒星の割合、生命の存在が可能な惑星の数や、そこで生まれた生物が知的生命体に進化する割合、さらに通信技術を持つ割合など、7つの数値を掛け算していくのです。 
 最終的に出てきた値が、天の川銀河に知的生物が住む星の数です。この式は途中までかなり正確に各数値を算出できるのですが、最後の数値だけが確認できません。 
 その値によって、地球人が宇宙人と会うことがほぼできないか、天の川銀河は宇宙人だらけなのかが決まります。 
 その最後の値は、「知的生物が文明を維持できる期間」です。つまり、生命はどのくらい平和に過ごし、その星を持続可能な世界にできるのか、ということです。 

 さあ、みなさんは知的生物に出会うことができると思いますか? 
 私は地球に生命がいる以上、宇宙には生命が誕生している星があると考えるほうが自然だと思っています。 
 しかし現在、宇宙人と出会えるかどうかは別です。 
 宇宙が誕生して138億年、地球が誕生して46億年、生命が文明を築き電波を使えるようになって130年ちょっと。 
 果たして今現在、通信ができる範囲に住んでいる宇宙人とコンタクトを取る、なんてことができるのでしょうか? 
 その確率はゼロに近い。 
 でも文明が今後数万年、数億年と続くことができたら、かなりの確率で宇宙人と出会うことができるでしょう。 

 地球に住む私たちにとって、今が分かれ目のような気がします。 
 今の地球は、あちらこちらで戦争がおこり、温暖化が進み、台風や山火事が頻発しています。 
 未来のために地球環境を維持して平和な世界を持続していくか、あるいは、わずか数百年、もしくは数千年で自ら破壊の道に進むのか。 

 宇宙人に出会えるかどうかは、今の私たちにかかっているのです。 

写真は「旅する星空解説員」の佐々木勇太さんがセスナに搭乗した際、撮影したペルー・ナスカの地上絵「天の川」です(赤線で囲んだ部分)。世界最大の謎のひとつである地上絵。宇宙人の落書きなのでしょうか?  
永田 美絵

ながた・みえ コスモプラネタリウム渋谷チーフ解説員。東京・品川生まれ。東京理科大学理学部物理学科卒業。キャッチフレーズは「癒しの星空解説員」。2000年からNHKラジオ第一『子ども科学電話相談』の「天文・宇宙」の回答者を務める。ご自身の名がついた小惑星(11528)Mie がある。著書に『カリスマ解説員の楽しい星空入門』(ちくま新書、2017年)など、監修に『小学館の図鑑NEO まどあけずかん うちゅう』(小学館、2022年)、『季節をめぐる 星座のものがたり 春』(汐文社、2022年)などがある。 コスモプラネタリウム渋谷の公式ホームページはこちら

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