【連載】トイレ事情を歩く◎石川未紀(世界共通トイレをめざす会) 第22回 /トイレ、男女使用機会均等へ!

第22回/トイレ、男女使用機会均等へ!

 この連載でも「男女のトイレの数問題」に触れましたが、2026年6月12日、国土交通省は公共施設や商業施設などのトイレの行列問題の改善を目指す「トイレの便器数に係る基準と適用のあり方に関するガイドライン」を決定・公表しました。 
 報道資料によれば、基本的な考え方は以下の2点。 
①利用者構成や占有時間の変化等を踏まえ、男女を問わず快適にトイレを利用できる基準とすること。  

※男性用トイレにおける大便器数と小便器数の比について、改めて検討することを含む。  

②男女の性差を踏まえ、トイレの待ち時間が平等になるように、原則として、利用者が概ね男女同数である施設においては女性便器数が男性便器数(大便器と小便器の合計)以上となる基準とすること。 

成田空港第1ターミナルのトイレ。女性用は7、男性用は9(小用5、大用4)

 女性用トイレの行列問題解消へ、第一歩ですね。 
 先日訪れた、成田国際空港第1ターミナルのトイレはきれいで、案内もとても親切。男性用トイレにも着替えや子どものおむつ替えができる個室がある、まさに先進的なトイレでした。しかし! 男性用トイレの便器の数のほうが多い。今後は、これも是正されていくと思うと期待は膨らみます。 
 ちなみに、このガイドラインにおけるトイレとは、不特定多数の人が利用する施設のトイレ(いわゆる公共トイレ)を対象とし、特定の人のみが利用する施設や利用者が少数に限られる施設のトイレは対象外となります。 
 女性が家にしばりつけられていた時代はとうの昔、と言い切れるにはまだ道半ばですが、そもそも男女は半々なのに、駅などのトイレが男性用のほうが多いのはどうも解せませんでした。 

女性トイレのほうが多い施設はごくわずか!(国土交通省HP「トイレの便器数に係る基準と適用のあり方に関するガイドライン」より)

 商業施設や劇場など、女性用トイレのほうが多い施設も増えていますが、そんな場所でも、女性用トイレには行列ができます。女性は「小」であっても衣服の着脱で時間がかかります。また、冠婚葬祭や観劇などで和服を着用するのも女性のほうが多い。さらに、女性には生理があり、その際も時間を必要とします。もっと大胆に女性用を増やすか、イベント会場などでは、男女トイレの壁を可動式にして調整する必要があると思います。 

 ただし、「数」の問題だけではないという側面もあります。トイレの占有時間は男女ともに増加傾向です。高齢化やトイレの多機能化などが影響していると考えられます。 

男女ともに個室占有率は長くなっている!(国土交通省HP「トイレの便器数に係る基準と適用のあり方に関するガイドライン」より)

 また、個室内にモニター画面などが設置されていて、広告が流れていたり、QRコードによるアンケートがあったりと、占有時間を長引かせるような仕組みも増えています。 
 リラックスできる空間は、排泄においても大事だと思います。また、清潔で快適なトイレで、一人でほっと一息つきたい、個室内でスマホをチェックしたい、思索にふけりたい方もいるかもしれません。こうした行為は絶対NGというわけではありませんが、使用する側も、混み具合などの状況に応じて、適切な使い方をこころがけたいものです。 

 今回の国交省の策定は大きな一歩であり、対象とならない施設であっても、今後、この策定を意識してトイレを設置していくはず(と期待したい!)。女性にとっては安心材料が増えますし、異性との外出時でも相手を待たせてしまう心配をすることなく、気楽にトイレに行けそうです。 

 さて、男女のトイレの数問題、実は、もうひとつ気を付けてほしいことがあります。それは男性用大便器トイレの数です。 

男性の意識にも変化がある?(国土交通省HP「トイレの便器数に係る基準と適用のあり方に関するガイドライン」より。なお調査はLIXILによる)

 上記のデータを見てもわかるように、最近では、小便器を利用しない男性も増えています。 
 小便器は圧倒的に時間がかからず、回転は速いと思われます。一方、大便器は数が少ない上に時間もかかります。過敏性腸症候群などの疾患では女性は便秘型・混合型が多いのに対し、男性は下痢型が多いというデータもあります(※)。聞き取り調査では、大便器が空いていないという理由でバリアフリートイレを使う男性も複数いました。せっかく新しく作るのであれば男性用トイレの大小便器の割合についても議論を尽くしてもらいたいと願います。 
過敏性腸症候群(IBS)慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト

石川未紀

いしかわ・みき 出版社勤務を経て、フリーライター&編集者。社会福祉士。重度重複障害がある次女との外出を妨げるトイレの悩みを解消したい。また、障害の有無にかかわらず、すべての人がトイレのために外出をためらわない社会の実現をめざして、2023年「世界共通トイレをめざす会」を一人で立ち上げる。現在、協力してくれる仲間とともに、年間100以上のトイレをめぐり、世界のトイレを調査中。 著書に『私たちは動物とどう向き合えばいいのか』(論創社)。

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