第25回 中国の星座
先日、私が勤めるコスモプラネタリウム渋谷で「諸葛孔明が見た星空」というイベントを開催しました。プラネタリウムは魔法の機械ですから、いつの時代にも行くことができます。イベント当日には1700年前の諸葛孔明が見上げていた星空にタイムスリップし、お客様と過去の星空を眺めました。
中国の星座は、現在私たちが使っている星座とまったく違います。
そもそも宇宙という漢字は、「宇」が四方上下の空間を、「宙」は往古来今を表しています。
宇宙という言葉は空間と時間すべてを意味するのです。
古くから数の単位も、現在の私たちからすると、とてつもなく大きな単位まで考えていた中国。
そんな中国の星座は、北極星を天帝とし、夜空に王国を築いています。北極星は北の夜空で動かない星。その周りをすべての星がかしずくように回っています。そのため昔の中国の人々は北極星をどの星よりも大切な星と考えたのです。
北斗七星は天帝の車で、まわりには城壁の星座が並びます。
西洋の星座は太陽の通り道(黄道)の星を結び、黄道12星座(誕生日の星座)を作りました。オリオン座、ふたご座など目立つ明るい星を結んで神話に登場する星座が数々生まれていきました。
しかし中国では、月の通り道(白道)に二十八宿と呼ばれる星座を考えました。太陽でなく月を見ていたのが中国らしいと思います。
北の夜空に天帝がいるので、身分の高い者たちが住むのは北の空。
南へ行けば行くほど庶民の星座となりますので、オリオン座の下のあたりには、なんと「厠」。トイレの星座があります。
中国星座の中には、「柳」や「鬼」の他に、農具などを大切にする気持ちや、さめざめと泣くなど、形にならない星座まであるのです。
日本は、もとは中国から入ってきた星座を使っていたので、キトラ古墳などで有名な天文図には中国の星座が描かれています。
同じ星空でも国によってずいぶんイメージが違うようです。
しかしはるか昔の人が同じ星空を眺めていたと想像すると、壮大な気持ちになったりしませんか?
歴史好きのみなさん、時代は移り変わっても諸葛孔明がかつて見ていた星を私たちは今見ることができます。
みなさんがいま立っている場所で、かつて同じ夜空を眺めていた人々がいたことに想いを馳せてみてはいかがでしょうか?

写真提供=佐々木勇太さん(旅する星空解説員)

ながた・みえ コスモプラネタリウム渋谷チーフ解説員。東京・品川生まれ。東京理科大学理学部物理学科卒業。キャッチフレーズは「癒しの星空解説員」。2000年からNHKラジオ第一『子ども科学電話相談』の「天文・宇宙」の回答者を務める。ご自身の名がついた小惑星(11528)Mie がある。著書に『カリスマ解説員の楽しい星空入門』(ちくま新書、2017年)など、監修に『小学館の図鑑NEO まどあけずかん うちゅう』(小学館、2022年)、『季節をめぐる 星座のものがたり 春』(汐文社、2022年)などがある。 コスモプラネタリウム渋谷の公式ホームページはこちら
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