効果絶大! 今日から足浴を
五臓(肝・心・脾・肺・腎)の働きを整え、活性化させる「臓活」という言葉を世に広めた中医学博士の尹[いん]さんが、なぜとくに足浴が臓活として優れているのか、どんな効果があり、どのように始めたらよいかを、基礎からていねいに解説する。
足浴の効果は驚くほど多岐にわたる。習慣化することで疲労回復・血行促進に役立つのはもちろん、血液の粘り度を下げ、平熱を上げるといわれている。また、足の感染症予防や血圧の調整、排泄機能増強、免疫力アップ、新陳代謝の促進、睡眠改善、緊張や不安・鬱の調整、むくみ解消なども期待できる。
足や下半身の冷えは女性や高齢者に多くみられるものの、日本ではそれが全身の健康にまで影響を及ぼすという意識はまだ薄いのではないだろうか。一方、寒さ対策として発展してきた中国の足浴には2000年以上の歴史があり、文化として人々の間にしっかりと浸透している。子どもも足首まで覆う靴下を履く、夏場でも冷飲冷食を避ける、とくに女性はいつも足や腰を温かく保つといった習慣も同様に、中国において健康維持のために受け継がれてきた生活の知恵である。
著者の尹さんによると、シャワーが主流となっている現代中国の都市部では、専用の足浴器が普及しているという。本書で紹介するのはさらに簡便な、桶とお湯・タオル・バスタオルだけを使った足浴法である。表紙写真には、見るからに気持ちよさそうな清潔な木桶にはられたお湯に、陳皮少々が浮かんでいる(これは漢方薬を用いた例)。
まず、ふくらはぎを10分程度湯気で温めてから、お湯の温度は38度から40度に保ち、浸かる時間は10分から長くても20分まで、消化不良にならないよう食後1時間ほどは足浴禁止、脱水を防ぐため足浴前と最中には白湯を飲むとよいなど、じつに細やかな注意が添えられている。とくに冬場は温度差が気になる浴室でなく暖かい部屋で入浴できること、服を着たまま行える点もメリットだ。
日本では一般に、足浴は時間がない時などの全身浴の代用ととらえられがちだが、本書の体験談でも語られているように、両者は似て非なるものであることがわかる。というのも、全身浴は心臓や胃腸など内臓に負担をかけたり、めまいやのぼせを引き起こしたりする場合があるからだ。尹さんは、「足浴は全身への負担が少ないため、体力のない人や高齢の人、高血圧の人にも最適な入浴法」だと述べている。15分ほどの足浴とシャワーの組み合わせで、湯船に浸かったのと同様の効果が得られるというのも、本書の大きな発見だった。
中医学では、足裏が全身の経絡(「気」の通り道)の起点であり、内臓につながる重要な反射区が集中しているとされる。足浴で巡りをよくしたあと、さらに経穴(ツボ)に刺激を与えれば、滞った「気」の流れを整え、不調を根本から緩和する助けとなる。尹さんはこれぞ究極の臓活だとして、経絡と経穴の刺激のしかたについても本書後半でくわしく紹介しているので、参照されたい。
桶さえあればいつでも自宅で手軽に始められる足浴を、尹さんの主な読者である女性ばかりでなく、男性たちにもぜひ試してほしいものだと思う。春夏秋冬、それぞれ季節に合った方法・タイミングで続けるのもよし。冬のとくに寒さ厳しい日に、ただ足を湯にゆったりと浸してみるのもまたよし、である。

『臓活足浴』
尹生花 著
徳間書店 1870円(税込)
尹生花[いん・せいか] 北京中医薬大学博士課程(医学博士)修了。早稲田大学ビジネススクール(MBA)卒業。厚生労働省認可・はり師・きゅう師資格取得。「HMB」(日本ホリスティックメディカルビューティ協会)理事長。「世界中医学学会連合会体質研究專門委員会」副会長。美容健康サロン「BHY」(渋谷、銀座、表参道の3店舗)代表取締役。ホリスティックビューティの先駆者として「身体の内側と肌の相関関係」を数字で解明。BHYは女優、モデル、アスリートなど多くの著名人のかかりつけサロンとして知られている。「臓活」は自ら編み出した独自メソッド。現在は「BHYアカデミー」にて、臓活指導士・臓活インストラクターの育成にも力を注ぐ。

尹さんが「臓活」という言葉をはじめて書名に掲げた本。 こちらもおすすめです(↑)。
『みんなの臓活』(ワニブックス、2019年)
まつなが・ゆいこ 1967年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。千代田区・文京区界隈の中小出版社で週刊美術雑誌、語学書、人文書等の編集部勤務を経て、 2013年より論創社編集長。

