【info】田中一村展——不屈の情熱の軌跡

不屈の情熱の軌跡
田中一村展——奄美の光　魂の絵画

　明治41（1908）年に栃木県下都賀郡栃木町（現・栃木市）に生まれた田中一村。世俗的な栄達とは無縁な中で、全身全霊をかけて「描くこと」に取り組んだ一村の生涯は、「不屈の情熱の軌跡」といえるものだった。自然を主題とする澄んだ光にあふれた絵画は、その情熱の結晶であり、静かで落ち着いた雰囲気のなかに、消えることのない、彼の魂の輝きをも宿しているかのようだ。

　本展では、彫刻師の父から書画を学び「米邨［べいそん］」の画号を与えられた幼年期から、終焉の地である奄美大島で描かれた最晩年の作品までを紹介する大回顧展。奄美の田中一村記念美術館の所蔵品をはじめ、代表作を網羅する決定版といえる。近年発見された資料を多数含む構成により、この稀にみる画家の真髄に迫り、「生きる糧」としての芸術の深みにふれる試みだ。